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2014年01月20日

詩人・吉野弘さん

愛情と人間味溢れる秀逸な作品をいくつも残してくれた
詩人・吉野弘さんが亡くなられたとのことです。
先ほどニュースで知りました。
享年87歳だったそうです。

代表作に「祝婚歌」など。

今でも中学生の教科書の冒頭に作品が掲載されていたりと(「虹の足」など)、現代の子どもたちにも、温かな影響を与え続けてくれている方です。私(太田)もその作品からたくさんの感動をもらい、影響を受けました。大好きな詩人さんです。

吉野さんがこの時代に生きてくれたことに感謝しつつ、心よりご冥福をお祈りいたします。

今日、彼の作品をいくつか読み直しました。いまさらはじめて知ることや、うっかり忘れてしまっていることが言葉の中に散りばめられていて、年を重ね、読み返せば、そのたびに「ああそうなのか」と気付かせてくれるような、「日本人の恩師」みたいな作品の数々。

吉野さんが撒いたくれた種は、これからもたくさんの芽を出し、花を咲かせるはずだから・・・私もこの先も彼の詩を何度も読み返し、微力ながらも子どもたちに語り伝えたいと思います。



=====


「奈々子に」   吉野弘


赤い林檎(りんご)の頬をして
眠っている 奈々子。

お前のお母さんの頬の赤さは
そっくり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにも ちょっと
酸っぱい思いがふえた。

唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。

お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ。

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。

自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。

自分があるとき
他人があり
世界がある。

お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労がふえた。
苦労は
今は
お前にあげられない。

お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。



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