僕はイカレタ学校をひとつ知っている。

クレイジーなハイスクールだ。


男子生徒全体の半数は派手すぎて、仲良く群れて道を歩いた日にゃ人々は目をそらし、その道を避けて通る。その中の半分はたぶんメンズエッグか何かから飛び出し、残りの半分はたぶんビーバップハイスクールか何かの登場人物なんだと思う。怖すぎる。

女子生徒全体の半数は派手すぎて、群れて歩いた日にゃ人々が皆振り返る。夜のお仕事の帰りかしら、と思ってみていると、高校に入っていくのでビックリする。みんな外人みたいな髪の毛してたりバケモノみたいな化粧してたりする。怖すぎる。

また全校生徒の半数以上が、過去に不登校を経験している。中学時代不登校がメイン。中には小学校時代から不登校を貫いてきたツワモノもいる。

そんな彼らの多くが、高校生になってから、週５日毎日通い出す学校。小学校時代から不登校を貫いてきた生徒が、３年間皆勤で卒業したりもする。怖すぎる。

コワモテの男子たちも、アクビをしながら通ってくる。

派手な女子たちもマツゲバサバサさせながら通ってくる。


『胸が騒がしい。でも懐かしい。』


その学校は、やはり教師たちもイカレている。みんなコメディアンで、みんな坂本金八だ。彼らはたぶん『へ？ルーキーズ？ごくせん？なんだかよく知らんが、うちの学校の方が熱いだろ！』とか思っている。普通じゃないような授業を展開したり、普通じゃないぐらい、生徒たちのことを思ってたりする。校則という後ろ盾がない学校で、ひとりひとりの生徒たちと１ＶＳ１のガチな向かい合いをしている。『人として』『高校生として』守るべきことがあることを教えるため。「約束」も「ルール」も、退学にならないために「守る」のではなく、自分と共に生きている人たちと、自分自身のために「守る」のだということを教えるため。

先日ふと覗いてみたら、たった１回の挑戦で２年生の半数以上が、簿記検定（全経）に合格していた。とっても勉強が苦手な子たちも合格している。非常にハイレベルな一級・二級を取得している生徒までいる。驚愕。放課後や休日、たかが高校教師がいったいどれだけのパワーを費やせばあの結果がでるのだろう。怖すぎる。

休み時間や放課後は、必ず生徒たちが職員室にたむろしている。先生たちと楽しく話したり、悩み相談したり、お説教されたりしている。どれだけ先生と生徒の間が近いのだろうか。異常事態だ。


生徒たちは、世間では時に、
派手な見かけで後ろ指指されたりする。
通信制高校というレッテルも
貼られたりする。
不良、不登校、不適応。
そんなどうでもいい肩書きたちが
チャラチャラつきまとう。

しかし彼らは、
そんなものの価値の低さを知っていて、
本当に価値のあるものは何かを
ちゃんと知っている。
だから自信満々に、こう言って卒業していく。

『ありがとう。この学校に来て、良かった。』

保護者の方々も、同じことをいってくれる。

『この学校で、良かった。』



イカレタ僕を先生にしてくれた、尊い学校の話。最高の生徒たちの話。





息を吸ってそして吐いて、
それだけじゃ喜べなくなって。
あれもこれも欲しくなって、
あの人のも欲しくなって。
だけどだけど、
君にあって僕にないもの、
僕にあって君にないものがあるから、
僕は君を、
君は僕を、
好きになれたんでしょ？

うん！



ということで、昨日は僕の前任校の、一年前まで僕が担任をしていた学年の、卒業式でした。そんな卒業式に呼んでもらい、卒業生たち在校生たちと久々に再開し、あっと言う間に時間が過ぎました。

『胸が騒がしい。でも懐かしい。』
この思い、何て呼んでいいのかわからないや。

またらっど？

一生に一度の体験だな。
式中ずっとそう思ってました。
くすぐったい違和感。
でもそれはこちらの話。

ひとりひとりの人生。楽しいこともたくさんあったよね。イヤなこともたくさんあった。怠けた。ふぬけた。弱い自分に負けた。止められない自分に泣いた。立ち向かえたこともあった。逃げたいこともあったし逃げたこともあった。やり遂げたこともあった。比べて病んだ。比べられて病んだ。喧嘩した。仲直りした。妥協もした。農業もした。すてきな恋をした。もしくはジャニオた。デスノートも落とした。はばんだり、学んだり。壊したり、直したり。キレたり、結んだり。切ったり、結んだり。結んだり、結んだり、結んだり。

そしてやまほど笑った。

だからこそ昨日溢れ出たたくさんの感謝。たくさんの笑顔。そして涙。しゃんとした返事。伸びた背筋。自ら手にいれた進路。未来を見つめて笑う目。そして卒業。

（・・・ここから私信・・・）

素晴らしい卒業式でした。たった一年見ない間の君らの成長に先生は感動した。みんなビシッと決めてかっこよかった。みんな美しかった。全員抱きしめてやろうかと思った。

あと、しゃくれと呼ぶなと思った。

でも先生は思います！

ほんとの感動は、卒業式じゃない。君たちひとりひとりの人生だ。

だからひとりひとりの人生に、高校生活に、心から感謝します。感動をありがとう。

そしてこの先もダラダラといつまでも、俺を感動させてくれ！

結んで、結んで、繋がっていこう。
そう、俺たちの国境は、地平線だ。


（・・・さて、ここから授業・・・）

今日はそんなわけで、
サヨナラcolorな一曲をどうぞ☆


http://www.youtube.com/watch?v=uVCUTpkFqhY


そこから旅立つことは
とても力がいるよ
だれも一人ボッチには
なりたくはないから

でも　君はそれでいいの？
夢の続きはどうしたの？
僕をだましてもいいけど
自分はもう　だまさないで

サヨナラから　はじまることが
たくさん　あるんだよ
本当のことは　見えてるんだろ？
その思いよ　消えないで

その思いを　僕に見せて



名曲！！！！

さぁ夢の続きをどうしよう！！！


（授業終了）


＊卒業生保護者の皆様へ＊
昨日は本当におめでとうございました！
このブログを毎回読んでくれていた方々も
結構いらっしゃって感激しました☆
ありがとうございます！

さんざん皆様に心配をかけてきた
あの子たちですが、
最高の締めくくりをしてくれましたね☆
ここまでが人生の土台作り。
ここからが本当の人生です！
まだまだ成長していく彼らを
引き続き温かく見守ってあげて下さい♪

本当に本当に、おめでとうございました！